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生命保険の受取人を孫にすると相続税が節税になる?

かわいい孫にお金を残してあげるため、生命保険に加入して孫を受取人に指定しようと考えている方もいるでしょう。また、孫を生命保険の受取人にすると、相続税の節税になると思われている方がいるかもしれません。

実は、生命保険の受取人に孫を指定すると、相続税が高くなる可能性があります。なぜ、相続税が高くなるのでしょうか?

今回は、孫を生命保険の死亡保険金受取人に指定する場合の注意点について解説します。


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目次

1.なぜ、死亡保険金受取人を孫にすると相続税が高くなるのか?

生命保険の受取人に法定相続人でない孫を指定すると下記の理由で相続税が高くなる可能性があります。

 

・生命保険の非課税枠が使えない

生命保険の死亡保険金には、相続税が課税されない非課税枠があり、下記非課税限度額(相続税法第12条)までは、相続税が課税されません。

非課税限度額 = 500万円 × 法定相続人の数

上記非課税限度額が適用できる生命保険契約は、契約者・被保険者が被相続人(亡くなる方)、受取人が相続人の場合です。法定相続人でない孫が保険金を受け取った場合、上記非課税限度額は適用されないため、生命保険の保険金は相続税の課税対象となります。

なお、孫の親、つまり子供が亡くなっていて孫が代襲相続人になっている場合や、孫を養子にし法定相続人となっている場合には、上記非課税限度額を適用できます。

 

・相続税が2割加算となる

被相続人(亡くなった方)の一親等の血族及び配偶者以外の方が相続または遺贈によって財産を取得した場合、相続税が2割増しになる2割加算の制度があります。

よって、一親等の血族ではない孫が死亡保険金を受け取った場合、その保険金には2割増しの相続税が課税されます。

 

・相続開始前3年以内の贈与が生前贈与加算の対象となる

相続や遺贈で相続財産を受け取った方に対する相続開始前3年以内の贈与は持ち戻しとなり、相続財産に組み入れられる「生前贈与加算」の制度があります。

「生前贈与加算」は、相続前に駆け込みで贈与を行い、相続財産を減らすことを防ぐ目的で設けられた制度です。

実は、生前贈与を受けていた孫が死亡保険金を受け取った場合、相続開始前3年以内の孫に対する贈与はなかったこととなり、贈与した財産が相続財産に加算され、相続税の課税対象となってしまいます。

生前贈与加算の対象外である孫に生前贈与していたとしても、孫が保険金を受け取ることになると、3年分の贈与財産が相続財産に持ち戻されてしまいます。

 

 

2.生命保険ではなく、生前贈与で孫に財産を残す

孫にお金を残す方法としては、生命保険の受取人に指定する以外にも生前贈与という方法もあります。

相続税という観点からは、孫を生命保険の受取人にするよりも生前贈与を選択した方が相続税額を少なくできる可能性があります。

 

・法定相続人でない孫への生前贈与は持ち戻しの対象とならない

先述の通り、法定相続人でない孫への生前贈与は、生前贈与加算の対象にはなりません。よって、生前贈与で孫に渡し分だけ相続財産を減らすことができ、相続税を減らすことができます。

 

・贈与税の基礎控除(110万円)を超える贈与が有効な場合もある

贈与税には、年間110万円までの基礎控除があり、110万円以内の贈与であれば、贈与税は課税されません。しかし、持っている財産の額によっては、基礎控除の110万円にこだわらない方がいいケースがあります。

つまり、孫に110万円を超える贈与を行い、贈与税を払いながら財産を減らした方が、結果的に相続税が少なくなり、贈与税と相続税のトータルでの納税額を少なくできる可能性があります。

生前贈与をしない場合、基礎控除内で生前贈与をした場合、基礎控除を超えて生前贈与をした場合の3パターンのシミュレーションを下記記事で行っていますので、ご参照ください。
参考:生前贈与は非課税枠の110万円に固執しない方がいい!?

 

・無駄使いが心配であれば、孫を契約者とする生命保険を検討する

生前贈与を検討する方で、現金で贈与すると無駄遣いを心配される場合があります。無駄遣いが心配であれば、孫を契約者とする生命保険契約を検討するのも1つの方法です。

生命保険に加入すると、お金を使うのに解約という1ステップを経る必要があり、心理的には解約しにくいというメリットがあります。また、生命保険を短期で解約すると、元本割れする可能性がある点も無駄遣いを防げる理由の1つです。

生命保険を契約する場合には主に下記2パターンの契約形態が考えられます。

契約例①
契約者:孫
被保険者:孫の親
受取人:孫

現金を孫に贈与することにより、孫が契約者となり孫の親を被保険者とする生命保険契約に加入します。相続財産を減らしながら「相続税の納税資金」や「遺産分割資金(代償交付金)」の準備が可能です。

契約例②
契約者:孫
被保険者:孫
受取人:孫の相続人

現金を子供や孫に贈与することにより、子供や孫が契約者・被保険者となる貯蓄型の生命保険に加入します。相続財産を減らしつつ、孫の資産形成が行えます。

保険料贈与プランについては、下記記事もご参照ください。
参考:贈与は申告・納税さえすれば、否認されない!?

 

 

3.相続時にどうしても孫にお金を残したい場合

なお、相続税の節税が目的ではなく、どうしても孫に財産を渡したいという場合には、生命保険契約は有効です。

生命保険の死亡保険金は、受取人固有の財産となりますので、受取時に遺産分割協議などの手続きが不要な点や、受取人が受け取った死亡保険金は遺産分割対象の財産ではない点が大きなメリットとなります。

遺言でお金を孫に渡す方法もありますが、公正証書遺言を作成する場合、費用がかかりますし、自筆証書遺言を作成する場合には、遺言自体が無効になるリスクもあります。

生命保険に加入し、死亡保険金受取人に孫を指定する方法であれば、費用はかかりませんし、遺産分割の手続きを経ることなく確実に保険金を孫に受け取らすことができます。

 

 

まとめ

上記の通り、法定相続人でない孫を生命保険の受取人に指定しても相続税の節税にはなりません。相続税の節税にならないどころかかえって税負担が増える可能性があります。

孫を生命保険の受取人に指定する場合には、相続税の負担などについて慎重に検討することが必要でしょう。

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