国民年金基金とは?|加入条件や掛金などをわかりやすく徹底解説
- 2021.02.03
- 国民年金基金
フリーランスや個人事業主など、第1号被保険者の公的年金に対する上乗せ制度としては、小規模企業共済やイデコ(iDeCo)と並んで国民年金基金が挙げられます。
国民年金基金への加入を検討している方も多いはず。
加入にあたって、制度の概要をざっくりと理解したいと思っている方も少なくないでしょう。
そこで今回は、国民年金基金の下記ポイントについてわかりやすく解説します。
- 加入条件や加入資格
- 掛金や年金額
- 途中解約や途中脱退は可能か?
- メリット・デメリット
- 破たんリスクやインフレリスクについて
目次
国民年金基金とは?
まずは、簡単に国民年金基金制度の概要について解説します。
会社員等の給与所得者の公的年金には、厚生年金や厚生年金基金があり、3階建ての制度になっています。
一方、自営業者などの第1号被保険者の場合、国民年金のみだと1階建ての制度。
そこで、会社員等の給与所得者との年金額差を解消するために国民年金基金制度が平成3年4月に創設され、国民年金と国民年金基金制度を合わせて2階建ての制度になりました。
国民年金基金は、国民年金法の規定に基づく公的な年金です。
国民年金基金制度は、国民年金(老齢基礎年金)とセットで、自営業者など第1号被保険者の老後の所得保障的な役割を担う制度です
加入条件や加入資格は?
国民年金基金の加入対象者は、日本国内に居住している20歳以上60歳未満の自営業者とその家族、フリーランス、自由業、学生などの国民年金の第1号被保険者および60歳以上65歳未満の方や海外に居住している方で国民年金に任意加入している方です。
なお、国民年金の保険料を免除されている方や農業者年金の被保険者の方は加入できません。
国民年金基金の加入員資格を喪失するケースとは?
国民年金基金への加入は任意ですが、60歳になったときや会社員となり第2号被保険者になった時などは、強制的に加入員資格を喪失することになります。
基金の加入条件や加入資格などの詳細については、下記記事をご参照ください。
参照:国民年金基金の加入条件や資格を解説|加入できる年齢は何歳から何歳まで?
掛金シミュレーション|最低いくらから?いつまで払う?
国民年金基金の掛金月額は、選択した給付の型、加入口数、加入時の年齢・性別によって決まり、1口から加入可能です。
上記の通り、国民年金基金は口数制なので、iDeCo(イデコ)のように月5,000円から加入できるというような掛金の最低額は決まっていません。
1口目は、A型(保証期間付き終身年金)または、B型(保証期間なし終身年金)のどちらかへの加入と決まっています。
なお、主な年齢別の1口目掛金(月額)は、下表の通り。
【1口目の年齢別・掛金表(男性)】
年齢・性別 | 月額掛金 | 年金月額 | |
---|---|---|---|
A型 | B型 | ||
30歳・男性 |
10,740円 | 9,650円 | 2万円 |
35歳・男性 | 10,140円 | 9,135円 | 1.5万円 |
45歳・男性 | 12,550円 | 11,380円 | 1万円 |
【1口目の年齢別・掛金表(女性)】
年齢・性別 | 月額掛金 | 年金月額 | |
---|---|---|---|
A型 | B型 | ||
30歳・女性 |
12,500円 | 12,010円 | 2万円 |
35歳・女性 | 11,790円 | 11,340円 | 1.5万円 |
45歳・女性 | 14,600円 | 14,080円 | 1万円 |
掛金の上限はiDeCo(イデコ)と合わせて月額6万8,000円以内
掛金の上限は月額6万8,000円まで。
個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)にも加入している場合は、その掛金と合わせて6万8,000円以内です。
実際の月額掛金イメージについては、下記記事で複数パターンの掛金シミュレーションを行っていますので、ご参照ください。
参照:国民年金基金の掛金をシミュレーション|最低いくらから?いつまで払う?
年金額シミュレーション|いつからいくらもらえる?
国民年金基金の老齢年金を「いつから」「いくら」「いつまで」受け取れるかについては、何歳から基金に加入したかや、選んでいる年金の型によって変わります。
国民年金基金の年金の型は下表の通り。
1口目は終身年金のA型またはB型から選ぶ必要がありますが、2口目以降は終身年金A型・B型および確定年金Ⅰ型、Ⅱ型、Ⅲ型、Ⅳ型、Ⅴ型の7種類の中から加入者が選択可能。
年金の種類 | 型 | 給付期間 |
---|---|---|
終身年金 | A型 | 65歳~終身(15年保証期間付) |
B型 | 65歳~終身(保証期間なし) | |
確定年金 | Ⅰ型 | 65~80歳(15年保証期間付) |
Ⅱ型 | 65~75歳(10年保証期間付) | |
Ⅲ型 | 60~75歳(15年保証期間付) | |
Ⅳ型 | 60~70歳(10年保証期間付) | |
Ⅴ型 | 60~65歳(5年保証期間付) |
下記記事で、具体的に受け取れる年金額を複数パターンでシミュレーションしているので、ご参照ください。
参照:国民年金基金の年金額をシミュレーション|いつまで、いくらもらえる?
途中解約や途中脱退は可能?
国民年金基金は加入期間が長くなるので、「途中で解約できるのか?」「解約した際には掛金が戻ってくるのか?」などが心配ではないでしょうか?
国民年金基金への加入は任意ですが、残念ながら、一度加入すると加入者の都合で任意に途中解約や途中脱退はできません。
また、納めた掛金を途中で引き出すことはできません。
なお、掛金の支払いを停止することはできませんが、掛金を減額することは可能。
2口目以降の加入口数を減らす(減口)ことで、掛金を減額することができます。
ただし、1口目は加入の基本となりますので、1口目を減額することはできませんが、2口目以降の口数を減らしてもなお掛金が支払えない場合には、掛金の払い込みを一時中断することができます。
国民年金基金の途中解約や途中脱退の詳細については、下記記事をご参照ください。
加入すべきか?メリット・デメリットを解説
国民年金基金に加入するにあたって、メリットが気になる一方、デメリットについても気になるでしょう。
国民年金基金は、掛金全額が所得控除になり、節税しながら一生涯受け取れる終身年金が準備できる点は大きなメリットであることは間違いありません。
一方で、一度加入すると途中解約やと途中脱退ができず、納めた掛金の途中引き出しができないなどのデメリットも存在します。
どんな制度にもメリットがあれば、デメリットも存在します。メリットしかない制度は存在しません。
よって、メリットとデメリットを見極めてから加入して頂ければと思います。
国民年金基金のメリットとデメリットをまとめると、下記の通りです。
メリット
- 掛金が全額所得控除となり、節税になる
- 終身年金を準備できる
- 掛金や年金額が加入時から変動しない確定給付の制度
デメリット
- 途中解約・途中脱退は不可
- 掛金の途中引き出しはできない
- インフレリスク、破たんリスクがある
国民年金基金のメリット・デメリットの詳細については、下記記事をご参照ください。
参照:国民年金基金は入るべきか?3つのメリットと4つのデメリットを解説
破たんリスクやインフレリスクがある
国民年金基金への加入を検討していると、破たんリスクやインフレリスクがあるという話を目にすることがあるでしょう。
実際、下記の通り、基金には破綻リスクやインフレリスクが存在します。
破たんリスク|積立不足問題
積立金の運用状況は悪く、加入者に約束する予定利率は、以下の通り段階的に引き下げられてきました。
⇓
4.75%(平成7年以降)
⇓
4%(平成12年以降)
⇓
3%(平成14年以降)
⇓
1.75%(平成16年以降)
⇓
1.5%(平成26年以降)
しかし、予定利率が下げられても加入時の予定利率は保証。
例えば、予定利率が5.5%の時代に基金に加入した加入者は、予定利率が1.5%に下がった現在も5.5%の予定利率が保証されています。
よって、実際の運用利回りが、高い予定利率を下回ってしまうと逆ザヤが発生し、積立不足が発生。
実際、令和元年度で14,778億円と巨額の積立不足が発生しています。
積立不足の状況が悪化すれば、その解消のため、約束している将来の年金額が引き下げられる可能性があります。
ただし、現在の国民年金基金の積立不足が即制度の破たんにつながるわけではありませんし、今後の運用環境がどう変わっていくかは誰にも分かりません。
積立不足が早期に解消される可能性もゼロではないでしょう。
インフレのリスク
国民年金基金は確定年金で、加入時に受け取り時の年金額をシミュレーションすることができます。
加入期間中に受け取れる年金額が変動しない点は大きなメリットの1つですが、インフレに弱いのが大きなデメリットの1つ。
公的年金のように物価や給与にスライドしないので、インフレにより物価が上昇した場合には、受け取る年金額が実質的に目減りする点には注意が必要。
例えば、インフレにより物価が2倍になったにもかかわらず、年金額が上がらなければ、年金額は実質的に2分の1に目減りすることになります。
インフレとは?
インフレ(インフレーション)とは、モノやサービスの値段(物価)が上がり、通貨(お金)の価値が下がることをいいます。
お金(通貨)の価値は一定ではなく、その時々の物価の状況により変動します。
国民年金の破たんリスクやインフレリスクの詳細については、下記記事をご参照ください。
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