国民年金基金をやめたい場合、途中解約や途中脱退は可能?
- 2020.12.03
- 国民年金基金
国民年金基金への加入を検討している方の中には、途中で掛金を支払えなくなった場合や途中で死亡するリスクを考えている方も少なくないでしょう。
国民年金基金は、途中解約や途中脱退は可能なのでしょうか?また、加入員資格を喪失した場合、掛金は返金してくれるのでしょうか?
そこで今回は、国民年金基金について下記のような疑問点について解説します。
- 掛金の支払いが継続できない場合などに途中解約が途中脱退が可能か?
- 加入員資格を喪失した場合、返戻金はあるのか?
- 年金を受け取る前に死亡した場合、掛金は返金されるのか?
目次
国民年金基金とは?
まずは、簡単に国民年金基金制度について解説します。
会社員等の給与所得者の公的年金には、厚生年金や厚生年金基金があり、3階建ての制度になっています。
一方、自営業者などの第1号被保険者の場合、国民年金のみだと1階建ての制度。
そこで、会社員等の給与所得者との年金額差を解消するために国民年金基金制度が平成3年4月に創設され、国民年金と国民年金基金制度を合わせて2階建ての制度になりました。
国民年金基金は、国民年金法の規定に基づく公的な年金です。
国民年金基金制度は、国民年金(老齢基礎年金)とセットで、自営業者など第1号被保険者の老後の所得保障的な役割を担う制度です
なお、国民年金基金の加入条件や加入資格については、下記記事をご参照ください。
また、国民年金基金への加入のメリット・デメリットについては、下記記事で詳細に解説しています。
国民年金基金をやめたい場合、任意での途中解約や途中脱退は可能か?
国民年金基金への加入は任意ですが、残念ながら、一度加入すると加入者の都合で任意に途中解約や途中脱退はできません。
また、納めた掛金を途中で引き出すことはできません。
掛金の減額は可能だが、原則、支払いの停止はできない
任意解約や任意脱退はできませんが、毎月支払っている掛金の口数を減らし、掛金を減額することは可能。
2口目以降の加入口数を減らす(減口)ことができます。
ただし、1口目は加入の基本となりますので、1口目を減額することはできませんが、口数を減らしてもなお掛金が支払えない場合には、掛金の払い込みを一時中断することができます。
なお、主な年齢別の1口目掛金は、下表の通り。
【1口目の年齢別・掛金表(男性)】
年齢・性別 | 月額掛金 | 年金月額 | |
---|---|---|---|
A型 | B型 | ||
30歳・男性 |
10,740円 | 9,650円 | 2万円 |
35歳・男性 | 10,140円 | 9,135円 | 1.5万円 |
45歳・男性 | 12,550円 | 11,380円 | 1万円 |
【1口目の年齢別・掛金表(女性)】
年齢・性別 | 月額掛金 | 年金月額 | |
---|---|---|---|
A型 | B型 | ||
30歳・女性 |
12,500円 | 12,010円 | 2万円 |
35歳・女性 | 11,790円 | 11,340円 | 1.5万円 |
45歳・女性 | 14,600円 | 14,080円 | 1万円 |
1口目に選んだ終身年金のA型またはB型の掛金については、支払いを停止できないので、注意が必要です。
掛金の詳細については、下記記事をご参照ください。
加入資格を喪失するケースとは?
任意での途中脱退や途中解約はできませんが、下記の条件に該当した場合には、強制的に加入員資格を喪失し、脱退となります。
- 60歳になったとき
- 65歳になったとき(国民年金に任意加入している場合)
- 国民年金の第1号被保険者でなくなったとき(会社員になったときや海外に転居したときなど)
- 国民年金の任意加入被保険者でなくなったとき
- 該当する事業または業務に従事しなくなったとき(職能型基金に加入の場合)
- 国民年金の保険料を免除されたとき(一部免除、学生納付特例、納付猶予を含む)
- 農業者年金の被保険者になったとき
- 加入員本人が死亡したとき
資格喪失時に解約約返戻金や脱退一時金を受け取れる?
国民年金基金に解約返戻金という制度はありませんので、資格を喪失したとしても、それまでに支払った掛金を一時金として受け取ることはできません。
しかし、将来、掛金を納付した状況に応じ年金として支給されます。
加入員資格を喪失した場合、脱退手続きは必要?
加入員資格を喪失する場合には、「資格喪失届」の提出する手続きが必要です。
なお、「資格喪失届」には資格喪失を証明する書類の添付が必要。
下記の国民年金基金公式サイトから「資格喪失届」の様式をダウンロードすることができます。
『各種届出等(国民年金基金公式サイト)』
加入員が死亡した場合、遺族一時金(非課税)が支払われる
加入員が死亡した場合、払い込んだ掛金は返金されるのでしょうか?
加入員本人が死亡した場合には、遺族に遺族一時金が支払われます。
なお、遺族一時金は非課税で受け取りが可能です。
保証期間のある年金を受け取る前に死亡した場合
保証期間のある終身年金A型と確定年金Ⅰ型、Ⅱ型、Ⅲ型、Ⅳ型、Ⅴ型の年金を受け取る前、又は保証期間中に死亡した場合、遺族に一時金が支払われます。
年金受け取り前に死亡した場合
加入時の年齢、死亡時の年齢、死亡時までの掛金納付期間に応じた額の遺族一時金が支給されます。
保証期間中に死亡した場合
残りの保証期間に応じた額の遺族一時金が支給されます。
保証期間のない終身年金B型のみに加入している場合
保証期間のない終身年金B型のみに加入している場合でも年金を受給する前に死亡した場合には、1万円の一時金が遺族に支払われます。
遺族一時金が支給される遺族とは?
遺族一時金が支給される遺族とは、死亡時に生計を同じくしていた、次の1~6の順位の遺族となっています。
- 配偶者
- 子
- 父母
- 孫
- 祖父母
- 兄弟姉妹
まとめ
今回の記事で解説した国民年金基金の途中解約や任意脱退、資格喪失についてまとめると下記の通りです。
- 一度加入すると、任意(自由)に途中解約・途中脱退することはできない
- 強制的に資格を喪失する場合でも、納めた掛金を引き出すことはできない
- 2口目以降の掛金は減額(減口)可能
- 1口目の掛金を減額することはできないため、原則、掛金支払を停止することはできない
支払った掛金が全額控除になり節税が可能だったり、終身年金が準備できるなどのメリットがある国民年金基金ですが、上記のようなデメリットもあります。
加入検討の際には、上記のような途中解約や途中脱退ができないなどのデメリットについても確認して頂ければと思います。
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