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貯蓄型(積立型)の生命保険と掛け捨て型の生命保険の比較

掛け捨て型の生命保険は、保険料が無駄でもったいないという方がいらっしゃいますが、掛け捨て型の生命保険は、本当に保険料が無駄になってしまうのでしょうか?

掛け捨て型の生命保険に比べて、貯蓄型の生命保険の方がお得なのでしょうか?

今回は、貯蓄型と掛け捨て型の生命保険を比較し、どのような場合に掛け捨て型の生命保険を選び、どのような場合に貯蓄型の生命保険を選ぶべきかについて解説します。


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目次

1.掛け捨て型の生命保険とは?

掛け捨て型の生命保険とは、定期保険などのように満期まで生存した場合でも満期保険金の支払いはなく、保険期間の途中で解約した場合も全く解約返戻金がないか、あってもごくわずかな商品です。

定期保険や収入保障保険などが掛け捨て型の生命保険です。安い保険料で大きな保障が準備できるので、保障をメインとした商品です。

掛け捨て型のメリット
・安い保険料で大きな保障が準備できる
掛け捨て型のデメリット
・保障が一定期間で、保険期間が満了すると保障がなくなる
・保険金を受け取ることなく、満期を迎えた場合、何も受け取れない

「掛け捨て」という言葉の響きが悪いのですが、満期時や解約した際に満期保険金や解約返戻金がないだけで、保険期間中には保障があるわけですから、掛け捨て型商品の保険料は保障の対価であり、保険料をムダに掛け捨てているわけではありません。

 

 

2.貯蓄型の生命保険とは?

貯蓄型(積立型)の生命保険は、養老保険のように満期まで生存すると満期保険金を受け取ることができ、また、保険期間の途中で解約した場合にも解約返戻金を受け取れる商品です。万一の際の保障だけでなく、貯蓄機能もあります。

終身保険や養老保険、個人年金保険などが貯蓄型の生命保険です。

貯蓄型のメリット
・掛け捨てではなく、貯蓄性があり解約返戻金や満期返戻金を受け取れる
貯蓄型のデメリット
・同じ保険金額(保障額)であれば、掛け捨て型に比べて保険料が高い
・早期に解約した場合、受け取る解約返戻金が支払った保険料を下回る可能性がある

貯蓄型の生命保険の保険料には、保障部分だけでなく積立部分の保険料が含まれています。つまり、満期保険金や解約返戻金として戻ってくる部分も保険料に含まれていることになります。

 

 

3.掛け捨て型と貯蓄型の保険料比較

掛け捨て型の定期保険(無解約返戻金型)と貯蓄型の終身保険の保険料を比較してみます。

試算条件
被保険者:男性30歳
保険金額:5,000万円

定期保険(無解約返戻金型)
保険期間:30年
払込期間:30年
月額保険料:17,100円

終身保険
保険期間:終身
払込期間:60歳払済
月額保険料:123,100円

掛け捨て型:定期保険(無解約返戻金型)
年数 保険料累計 解約返戻金 実質負担額
5年 1,026,000円 0円 1,026,000円
10年 2,052,000円 0円 2,052,000円
20年 4,104,000円 0円 4,104,000円
30年 6,156,000円 0円 6,156,000円

 

貯蓄型(積立型):終身保険
年数 保険料累計 解約返戻金 実質負担額
5年 7,386,000円 5,340,000円 2,046,000円
10年 14,772,000円 12,755,000円 2,017,000円
20年 29,544,000円 26,525,000円 3,019,000円
30年 44,316,000円 41,710,000円 2,606,000円

月額保険料を比較すると、貯蓄型の保険料は掛け捨て型の保険料の約7倍です。途中解約した場合の実質負担額(保険料累計-解約返戻金)を比較すると、9年目までは、貯蓄型の方が高くなります。

しかし、10年目時以降からは、実質負担額が逆転し、掛け捨て型の方が高くなります。39年目になると、貯蓄型は解約返戻金が保険料累計を上回ります。つまり、解約返戻率が100%を超えます。

返戻率とは?

返戻率とは、払込保険料総額に対して、解約返戻金や満期保険金などをどの程度受け取れるかを表します。

返戻率(%) = 解約返戻金 ÷ 払込保険料総額 × 100

返戻率が100%を超えていると、支払った保険料よりも受け取った解約返戻金の方が多いことを表します。逆に返戻率が100%を下回ると、支払った保険料よりも受け取る解約返戻金が下回る元本割れを意味します。

貯蓄型の生命保険は、「強制貯蓄」できる側面があるので、保障を準備しながら、お金も貯めることができます。

契約の条件にもよりますが、万が一の保障がありながら、最終的には支払った保険料以上の解約返戻金を受け取れる点は、貯蓄型の生命保険の大きな魅力の1つです。

また、掛け捨て型の定期保険は満期を迎えると保障がなくなりますが、貯蓄型の終身保険は解約しない限り一生涯の保障が続きます。

貯蓄型商品の注意点は、早期解約時は解約返戻金が保険料累計を大きく割り込み元本割れする点です。低解約返戻金型の商品に関しては、保険料払込期間中の解約返戻金を一般的な商品の7割程度に抑えているので、更に早期解約は不利となります。
参考:低解約返戻金型終身保険の5つの特徴

 

 

4.「貯蓄型」と「掛け捨て型」のどちらに加入すべきか?

「貯蓄型」と「掛け捨て型」のどちらか一方が「得」でどちらか一方が「損」ということはありません。また、「貯蓄型」と「掛け捨て型」のどちらか一方だけを選択しなければならないわけでもありません。

それぞれにメリットとデメリットがありますので、用途に合わせて掛け捨て型と貯蓄型の両方を上手に使い分けることが重要です。

掛け捨て型と貯蓄型のそれぞれの商品が活用できる場面をご紹介します。

掛け捨て型が活用できる場合
・一定期間に大きな保障が欲しい場合
・保険料を極力抑えたい場合
・貯蓄は保険ではなく、自分でできる(したい)場合

上記のような場合には、掛け捨て型の生命保険を選ぶといいでしょう。例えば、若い時には、家族の生活資金や子供の教育資金を考えると、大きな保障が必要です。よって、安い保険料で大きな保障が準備できる掛け捨て型の商品の方が向いています。

貯蓄型が活用できる場合
・保険で相続対策を考えている場合
・自分でお金を貯めることが苦手で、強制貯蓄の機能を活用したい場合

上記のような場合には、貯蓄型の生命保険を選ぶといいでしょう。

例えば、相続対策には、貯蓄型の中でも終身保険を活用すべきです。途中で保障がなくなってしまったら、相続対策にはなりません。

なお、貯蓄型の生命保険には、強制貯蓄機能があり、お金が貯められない方に向いているとは思いますが、生命保険で積極的に資産運用することはおすすめできません。

超低金利の影響で生命保険の予定利率は非常に低い状態です。生命保険は、資産運用が主目的の商品ではないので、資産運用を考えの場合には、株式など他の商品の活用をおすすめします。

一般的な生命保険は長期間金利が固定されてしまう商品なので、特にインフレには負けてしまうという弱点があります。
参考:インフレのリスクとは?

 

 

まとめ

「貯蓄型」の生命保険は日銀の低金利政策の影響を受け、以前に比べて魅力が下がっています。よって、「貯蓄型」の生命保険は損で、「掛け捨て型」の生命保険の方が得と決めつけている論調がありますが、私はそうは思いません。

どのような目的で加入するかやメリット・デメリットを理解していれば、後は契約する方の好みで「貯蓄型」と「掛け捨て型」を選択して頂ければと思います。問題なのは、間違った目的で加入している場合や、メリット・デメリットを理解せずに加入している場合です。

「貯蓄型」か「掛け捨て型」のどちらのタイプを選ぶべきかよく分からないという方は、お気軽にご相談下さい。

  • どのような保険を選んだらいいのかわからない
  • 今、加入している生命保険が、どのような保障内容になっているか確認してもらいたい
  • 見直し方をアドバイスして欲しいが、誰に相談していいか分からない など

保険の選び方や見直し方で悩まれている方は、保険のプロであるFP(ファイナンシャル・プランナー)による無料相談(大阪/兵庫/京都/奈良)をご利用ください。

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