一時払い終身保険は相続対策の強い味方
保険料を契約時に1回で払い込む終身保険(一時払終身保険)をご存知でしょうか?以前は、保険というより運用商品として注目されることもあった商品です。
日銀の金融緩和政策により長期金利が低下している昨今、保険会社が予定利率を下げ、保険料が上がったので、運用商品としての魅力は薄れています。
しかし、一時払い終身保険は相続対策の強い武器になることがあります。今回は、一時払い終身保険の相続対策の活用方法やその効果について解説したいと思います。
目次
1.一時払終身保険とは?
一時払終身保険とは、契約時に一括で保険料を支払う終身保険です。一生涯の保障がある点などの特徴については、保険料を「月払い」や「年払い」で支払う一般的な終身保険と変わりません。
参考:終身保険の特徴(メリット・デメリット)
予定利率が高かった頃は、運用商品の1つとして注目されたこともありましたが、現在の予定利率では、運用商品としての魅力はほとんどありません。
2.死亡保険金の非課税枠(相続税法第12条)の利用
下記記事でもご紹介しましたが、契約者と被保険者が同一人の生命保険の死亡保険金には下記の非課税枠(相続税法第12条)があります。
参考:生命保険の契約形態によっては保険金が非課税にならない!?
非課税限度額 = 500万円 × 法定相続人の数
一時払い終身保険は年齢にもよりますが、「保険料≒保険金」になることもあるので、現金を生命保険にするだけで、課税対象の現金を非課税の財産に移すことができます。
3.二次相続時に税軽減効果大
この現金を非課税財産に移すという機能は二次相続時には特に大きな節税効果を発揮します。現金を生命保険という形に変えるだけで、相続税を軽減することが可能です。
一次相続とは?
一次相続とは、夫婦のどちらかが亡くなる1回目の相続で、通常は配偶者と子供が相続人になります。
二次相続とは?
二次相続とは、一次相続に続いて、配偶者が亡くなる2回目の相続で、通常は子供が相続人になります。
二次相続時において生命保険に加入していた場合と加入していなかった場合の相続税の比較は下記の通りです。
例)
≪生命保険未加入の場合≫
相続財産:3億円
法定相続人:子供2人
相続税合計額: 6,920万円:(法定相続分で財産を分割した場合)
≪生命保険加入の場合≫
相続財産:2.9億円
生命保険:1,000万円(保険料=保険金)
法定相続人:子供2人
相続税合計額:6,520万円(法定相続分で財産を分割した場合)
一時払終身保険に加入することにより1,000万円の現金が非課税財産になりますので、課税対象となる財産を減らすことができます。その結果として相続税を400万円節税(軽減)することが可能です。
4.相続財産が基礎控除内に収まることも
相続税は、相続財産が基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超えた場合に課税されますが、相続財産の額によっては一時払終身保険に加入することにより、財産の額が基礎控除内に収まる場合もあります。
例)
≪生命保険未加入の場合≫
相続財産:6,000万円
法定相続人:妻と子供2人
相続税総額:60万円(法定相続分で財産を分割した場合)
≪生命保険加入の場合≫
相続財産:4,500万円
生命保険:1,500万円(保険料=保険金)
法定相続人:妻と子供2人
相続税総額:0円(法定相続分で財産を分割した場合)
上記例の場合、一時払終身保険に1,500万円加入することにより、相続財産が4,500万円となり、基礎控除内の4,800万円(3,000万円+600万円×3人)に収まり、相続税は0となります。
相続税を60万円軽減できるとともに相続税の申告をする手間も省けます。
5.遺言と同様の効果
生命保険の死亡保険金は、民法上は相続財産ではなく、受取人固有の財産とされています(税法上はみなし相続財産)。よって、死亡保険金は遺産分割協議の対象外です。
死亡保険金受取人に指定することで、財産を渡したい人に保険金分の財産を遺すことが可能です。つまり、遺言と同様の効果があります。
6.高齢で持病などがあっても加入可能
生命保険というと、持病があったり、病歴があると加入できないというイメージがありますが、この一時払い終身保険は、無告知・無診査で加入できる商品もありますので、持病があったり、病歴があったとしても契約が可能です。
また、90歳まで加入可能な一時払終身保険もあり、高齢の方も相続対策に活用可能です。
但し、契約者(被保険者)の加入意思がしっかりしている必要はあります(認知症等の場合は加入できない可能性があります)。
つまり、病気等で余命が短い場合でも一時払い終身保険には加入可能です。相続までに時間がない場合でも状況によっては一時払い終身保険を活用することにより大きな効果を発揮する相続税対策が可能となります。
まとめ
以前は、運用商品として注目されていた一時払終身保険ですが、現在は予定利率が下がり運用商品としての魅力はほぼ皆無といっていいでしょう。
しかし、相続対策には有効な商品です。また、無告知、無診査で加入できる商品もありますので、高齢の方でも加入でき、相続対策を行うことが可能です。
個人開業医の皆様には、ご両親の相続時などに活用をご検討頂ける商品です。
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